備長炭とは?備長炭の基礎知識や特徴をご紹介

燃焼中の備長炭

備長炭とはどのような炭の事をいうのでしょうか?

「備長炭」という名前は聞いたことがあっても、その特徴や他の炭との違い等を詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか?

炭には色々な種類がありますが、その中でも備長炭は様々な優れた特徴を持っています。この記事では、備長炭の基礎知識やその魅力・用途を解説します。

備長炭とはどのような炭の事を言うのか?

木炭は、木材を炭化させたもの全般を言いますが、性質や素材によって分類され、名称が変わります。ここでは、どのような木炭が備長炭と呼ばれているかを解説します。

黒炭と白炭に分かれる木炭

木炭は、大きく分けて白炭と黒炭に分けられます。簡単に説明すると、白炭と黒炭の違いは、火の消し方です。

黒炭は、焼いた後焚口と煙の出口を粘土や石で塞いで酸素をなくし、自然に火が消えるのを待ちます。一方、白炭は焼き上がったら、すぐに窯から取り出します。その後、少量の水を混ぜた灰をかけて空気を遮断し、一気に消火します。このように炭の性質は、焼き方に加えて、どのような方法で火を消すかによって左右されます。

備長炭は白炭の代表格

備長炭は、炭の中でも最高品質の高級品です。最も有名な備長炭は、和歌山県のウバメガシを原木にした備長炭です。

備長炭は別名”白炭”とも呼ばれ、土窯で炭化させた木炭を、1200°近い高温で一気に焼き上げて、消し粉で一気に消火して作られます。このような製法で炭を作るには高い技術力を必要としますが、炭は非常に硬く、長い燃焼時間を持つことができます。

備長炭は黒炭に比べて火の付く速さこそ劣るものの、燃焼時間が長く火力が強い点が特徴で、高温で食材の表面をパリッと焼き上げられると、プロの料理人に重宝されています。

備長炭の名前の由来

諸説ありますが、備長炭という名称は1人の商人の名前に由来するといわれています。現在の和歌山県にあたる紀伊国の炭問屋の商人、備中屋長左衛門(びっちゅうやちょうざえもん)がウバメガシを材料に炭を作り始めました。当初、備中屋長左衛門は地元の紀伊国で自らの焼いた炭を売っていましたが、後に江戸の問屋へも出荷し始めます。

紀伊国からやってきた炭は、当時の江戸にはなかった高品質な炭でした。焼き物づくりの職人やうなぎ屋などは非常に驚き、炭を扱うプロを中心に大好評を博します。空前の大ブームを喜んだ備中屋長左衛門は、自分の屋号から取って「備長炭」と名付けたといわれています。

備長炭の特徴

備長炭は、炭の中でも極めて高品質な木炭です。ここでは、火力や燃焼時間、火付きなどの観点から備長炭の特徴を説明します。

火力の安定性が抜群で燃焼時間も長い

備長炭の一番の魅力は、火持ちの良さです。黒炭に比べて、火が付くまでのスピードは劣りますが、火力が安定しています。また、燃焼時間も長く一度火をつければ長く使用することが可能です。

そのため、日本料理屋や焼鳥屋などの飲食店において、調理や接客で手が離せないピーク中に炭を継ぎ足すことなく、一定の火力で焼き続けられるメリットがあります。

備長炭を使用する際は「爆跳」に注意!

備長炭を使用して作業をする際に、気を付けなければいけないのが爆跳(ばくちょう)です。爆跳とは、木炭がパチパチと音を鳴らして爆(は)ぜることをいいます。

爆跳の原因は、加熱によってガスや水蒸気が膨張し、弾けることが原因です。しっかりと炭化されていない粗悪な木炭の場合、ガスや水蒸気が含んでいることが多く、爆跳する可能性があります。また、高品質な国産の備長炭でも、保管方法を誤って湿気を含んでいる場合は爆跳する可能性があります。

パチパチ程度で済めば問題ありませんが、硬度の高い備長炭は「パンッ!」と爆発したような音とともに、木炭の破片が飛び散る可能性があります。粉々になって弾け飛んだ木炭は、先端が尖っており、目に入ると非常に危険です。

爆跳を防ぐコツは、急激に加熱しないことです。ガスや水蒸気をゆっくりと逃すことにより、爆跳を防ぐことができます。また、着火や継ぎ足しの際は、最初は火の遠いところに置いて暖めてから使うとよいでしょう。

備長炭の用途

備長炭が最も使われている現場の1つは、飲食店です。日本料理店の炭場やうなぎ屋、焼鳥屋などで重宝されています。また、備長炭は安定した火力を長時間保てるので、バーベキューやキャンプでもよく使われます。

他にも、消臭や湿気吸収能力が高く、ミネラルも豊富に含まれています。そのため、タンスや靴箱の中に置いたり、白米をふっくら炊き上げるために炊飯器に入れたり、自家製ミネラルウォーターを作ったりと様々な用途で使われています。

『全国燃料協会』が推奨している備長炭の新しい用途
● 炊飯用
● 飲料水用
● 風呂用
木炭の新しい使い方『全国燃料協会』

備長炭が料理をおいしく仕上げる理由

日本料理店やウナギ屋・焼鳥屋・居酒屋など、備長炭はさまざまな飲食店で取り扱われています。ここでは、備長炭で焼き上げるとなぜ料理が美味しく仕上がるのかを解説します。

放たれる赤外線が絶妙な食感を生み出す

備長炭で焼いたウナギや焼鳥が美味しい理由は、赤外線にあります。赤外線が強ければ強いほど、素材の表面をコーティングするようにまんべんなく、一気に焼き上げることができます。そのため、肉汁が素材の中に凝縮され、外はカリッと中はフワッとした絶妙な食感が生まれます。

しかし、赤外線を発しているのは備長炭だけではありません。ガスから作られる火や常温の物体からも赤外線は出ています。では、なぜ備長炭の赤外線が料理を美味しく仕上げられるのでしょうか?

謎は赤外線の放出量と持続力に隠されている

ガスの場合、燃焼すると形を変えてすぐに無くなってしまいます。ガスコンロが燃え続けるのは、火が消えないように無くなったガスを補充し続けているからです。そのため、ガスコンロに火が付いていても、赤外線の放出は途切れ途切れになっているのです。

一方、備長炭は1,000℃以上の高温に耐えながら、長時間燃え続けます。そのため、長時間安定して赤外線を供給できるのです。「火力が安定している」「燃焼時間が長い」といった備長炭の品質が高いといわれている理由は、赤外線の放出量が多いからだといえます。

水素が少ない性質も美味しくなるポイント

ガスや薪といった燃料には水素が含まれています。そのため、燃焼の際には二酸化炭素を含む水蒸気が発生します。水蒸気は、焼き上がった食材に湿気をもたらす原因です。

しかし、炭には水素がほとんど含まれていません。食材に熱を加える際にも水蒸気を含まず、クリスピーな表面に仕上がります。炭火の焼き鳥や焼き魚などのパリッとした食感を生み出すのは、水素の含有量も大きく関係しているのです。

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今回は、備長炭の基礎知識や特徴・用途をご紹介しました。備長炭は火力が強く、安定的に赤外線を放出するため、食材を一気に焼き上げてコーティングして旨味を閉じ込めることができます。備長炭のメリットを存分に活かした使い方をしましょう。

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